(日本語) 岩のり

佐渡の最西端に位置する沢崎集落では、12月~3月頃にかけて、海岸の岩のりを収穫します。

1802年に起きた小木沖大地震の影響で海岸が1mほど海底から持ち上がり、広くて平らな海岸ができました。その結果、岩のりが生える良い海苔場になりました。

大正3年、当時郡の水産技手であった児玉氏が沢崎を訪れ、岩のりに関する指導を集落の方々へ行ったところ、岩のりの生産量などが飛躍的に上がりました。この功績をたたえる碑が、今でも沢崎集落内に残されています。

その後沢崎の岩のりは評判になり、多くの人が買い求めました。板(判)のりに加工されたのりは商人の手によって佐渡の国中方面や、越後にまで販売されました。

(日本語) 沢崎では当番が決められており、当番の人は朝早くに海岸の状態を確認します。
状態が良ければ(海が荒れていなければ)集落内にある鐘を鳴らし、岩のり採りを行うことを集落に知らせます。

(日本語) 沢崎では、時間を決めて集落全員で岩のりを採ります。
道路が発達していなかった頃、岩のりは人々の貴重な収入源だったため、家族総出で岩のりを採ったそうです。

(日本語) 採った岩のりを包丁でよく刻み、のりに付着している砂利などを細かく砕きます。
包丁で強くたたいても壊れないように、まな板には丈夫なケヤキの木を使用しています。

(日本語) さらに不純物を取り除くため、専用の箱に水と岩のりを流します。
すると、岩のりより重い砂利などは箱の下に沈むため、岩のりと砂利を分けることができます。

(日本語) 砂利を取り除いた岩のりを「のり枠」と「のりず」に広げ、均等な厚さになるようにならします。
穴があかないように慎重に作業を行います。

(日本語) 岩のりが均等に広がったら、枠をそっと外します。
のりずはカヤを乾燥させたもので、各家庭で手作りするそうです。

(日本語) 水を切るため、のりずを斜めにして立てかけます。
45度くらいがちょうど良いそうです。

(日本語) 吊るした棒にのりずを洗濯物のように干していきます。
乾くとのりずが丸まってくるため、竹で作った洗濯ばさみのようなものではさみ、丸まるのを防止します。

(日本語) 乾いたのりを数枚重ねてめんぼうのような道具でゴロゴロします。
とても小さなごみや砂をこの作業で落とします。

(日本語) 小さなほうきを使い、のりの表面についている小さなごみや砂を落とします。

(日本語) 10枚ののりをひもでくくり、1セットにします。100枚~200枚の板(判)のりができたら木の板で挟み、圧縮します。
これで完成です!

レポート投稿者

市橋弥生

佐渡ジオパーク学芸員
市橋 弥生(ICHIHASHI YAYOI)

佐渡生まれ佐渡育ち。新潟大学で地学を学び、2011年より佐渡ジオパークの専門員となる。趣味はカメラ。

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